第31章 プロポーズ
「それより、
ずっと気になっていたんですけど、
何でナイル師団長が私に渡すワインに、
如何わしい薬を混ぜる必要があったんですか?」
エマのその問いかけに、
エルヴィンは少し顔を上げると、
「多分、まだ憲兵団では、私と君が
恋人同士だと噂されているんだろう。」
そう言ってため息を吐く。
「だからナイルが余計な気を利かせて、
私たちが熱い夜を過ごせるように
示唆したんだと思う。」
「……本当に余計な気を
利かせてくれましたね……」
エマは思わず呆気にとられる。
そして、ナイルにワインを
渡された時のことを思い出し、
「確かに今考えてみれば、
エルヴィンと飲め!
って談じ込められました……
そこでおかしいことに気付けば
良かったんですけど、
高いワインの力は大きかったですね……」
と、小さくため息を吐いた。
「私もまさかナイルが君に
酒を渡すような気遣いをするとは
思っていなかったから、油断していたよ。」
エルヴィンは横目でエマを見る。