第30章 愛されなくてもいい
「……エルヴィンさん?」
エマの困惑した声に、
エルヴィンは小さく笑う。
「すまない。
君の寝顔を見ていたら、
感情が止まらなくなったんだ。」
エマは少し頬を赤らめ、
「……エルヴィンさんらしい言い分ですが
事あるごとに、私の心を揺り動かすのは
止めてください……」
と、戸惑いを隠しきれない口調で言った。
「……まだ揺れ動いてはくれるのか。」
エルヴィンは小さな声で
独り言を呟くかのように言った。
「今、何か言いましたか?」
エマはエルヴィンの顔を覗き込む。
「いや。なんでもないよ。」
エルヴィンはそう言うと、
また強くエマを抱きしめた。