第30章 愛されなくてもいい
「……エルヴィンさん。
無理して笑わないでいいですよ。」
エマは寝転んだまま
穏やかな表情で笑うと、
エルヴィンの腕を優しく摩った。
「何か心配事があるなら、
何でも聞きますからね。」
エマの声は、また深く、
エルヴィンの心に入り込む。
振出しに戻ったどころか、
彼女を想う気持ちが一段と強くなる。
この繰り返しで、
私はどんどん君に惹かれていくんだ……
「エマ。愛してる。」
エルヴィンはそれだけ言うと、
エマを抱きしめた。
きっと彼女を愛さないでいることは、
無理なんだろう。
何度諦めようと試みても、
こうして彼女の温かい心に触れる度、
もう僅かな望みさえ残っていなくても
彼女を愛することをやめられない。
それならもう、愛されなくてもいい。
だから、どうかいつまでも、
私の心を掻き乱し続けてくれ……