第30章 愛されなくてもいい
次の日の朝。
エルヴィンは窓から差し込む光を浴び、
目を覚ます。
太陽は既に高く昇り、
時計を確認すると既に正午を過ぎていた。
「…っ……飲みすぎたか……」
頭の左側がズキズキと痛む。
身体もかなり気怠く、
起き上がることさえ躊躇われる。
だが、このまま何もせず
一日を終えることはしたくない。
休みの日くらい、ゆっくりエマと、
………エマ?
そう思ったと同時に、
勢いよく上半身を起こした。
恐る恐る隣に目を向けると、
小さく寝息を立てて眠るエマがいる。
「夢ではなかったようだな……」
エルヴィンは呟くように言うと、
深くため息を吐いた。
エマに毛布を掛け、
しばらく寝顔を見ていたが、
昨日のことが徐々に思い出され、頭を抱える。
誰よりも、何よりも大事な女性に、
乱暴な真似をしてしまった。
薬の影響とは言え、許されることではない。
それなのに、
その時のことを思い出すと
また下半身が疼き始める。
また彼女を強く抱きしめたい。
身体を合わせ、体温を確かめたい。
彼女をもっと近くで感じていたい。