第29章 愛していたい
薬の副作用によって、
これだけ自分の気持ちを
伝えてくれたのかもしれない。
もしくは酔い任せで、薬任せで、
ただ出任せを口走っただけなのかもしれない。
それでも、どちらにせよ、
自分の鼓動の高鳴りを
抑えることが出来ずにいた。
そもそも、リヴァイが調査中で
基地にいないとしても、
薬の影響でエルヴィンが
苦しんでいたとしても、
エルヴィンに身体を許すこと自体、
あってはならないことだった。
冷静に考えれば分かることなのにも関わらず、
すぐに考えを放棄し、
行動に移す傾向を未だ変えられずにいる。
それでもエルヴィンの苦しむ姿は見たくないし、
自分も助けてもらったことを考えると、
結局はこの方法を取ったようにも思え、
その事実も、
自分を深く軽蔑する引き金となった。
ゆっくり話をするつもりが
もっと自分の感情を掻き乱す結果になり
もう溜め息以外出そうにない……
エルヴィンはエマに抱き着いたまま、
穏やかな表情で眠っている。
エマは色々な思いを馳せながら、
再び静かに目を瞑った。