第29章 愛していたい
「そんな絶望的な顔、しないで下さいよ。」
少し呼吸が落ち着いたエマは、
エルヴィンの髪を優しく撫でる。
「大丈夫です。
激情的なエルヴィンさん、
初めて見たんで少しびっくりしましたけど。」
「私もあんなになったのは初めてだよ……」
エルヴィンはエマに髪を撫でられながら俯く。
だが、
「それなら尚更、
私が相手出来て良かったですよ。」
エマのその言葉を受け、
少し顔を上げた。
「あんな乱れたエルヴィンさん、
他の人に見せたくないです。」
エマはそう言いきった後、
少し沈黙し、酷く後悔する。