第29章 愛していたい
恋人でもない相手を、
あたかも束縛するような発言をしてしまった。
ただでさえ、エルヴィンは
自分に好意を抱いてくれているのに
これ以上思わせぶりなことを言って
どうするんだ……
そう考えたところで、
小さくため息を吐き、目を伏せた。
エルヴィンは
そんなエマの様子を見ると、
「……エマ。君はどれだけ
私の心を掴んでおけば気が済むんだ?」
そう言いながら、エマを抱き寄せた。
「そんなことを言われてしまったら、
私が君を諦め切れる可能性が、
早々に下がっていく一方なんだが。」
そう言うエルヴィンの声は、
とても穏やかだった。
「すみません……
そうですよね……
……つい、口を突いて出ました。」
エマは自分の失言に深く反省する。