第27章 ワインの思惑
「……思ったより簡単に開いたな。」
エルヴィンは少し訝しげな顔でワインを見る。
「……?
エルヴィンさんがコルク抜くのが
上手いからじゃないですか?」
エマはそう言いながら、
ワインをグラスに注ぎ、
エルヴィンの前に置いた。
「エマ。ご馳走になります。」
エルヴィンはそう言って、
エマが持っているグラスに
自分が持っているグラスを軽く合わせる。
「どうぞ。私も憲兵の方に、
感謝して頂きます。」
エマはそう言って笑って見せた。
「あ。そう言えば、
おつまみ作ってたんですよ。」
エマはワインを一口飲んだ後、
スッと立ち上がる。
「少し温め直してくるので、
飲んでいて下さいね。」
エマがエルヴィンにそう声を掛けると
「悪いね。ありがとう。」
エルヴィンは軽くグラスを持ち上げた。