第27章 ワインの思惑
調査兵団が壁外調査へ出発し、
前回同様、調査兵団の基地で
エルヴィンとエマ、二人きりの生活が始まる。
調査三日前、
自分が流した涙の意味について、
この状況だからこそ考えるべきだと思っていた。
あの時、情事の様子を
盗み聞きされていたことなど
知る由もないエルヴィンは、
いつもと同じようにエマに接しつつも
リヴァイのことを気遣ってか、
エマと長い時間一緒に過ごすことを
避けているようでもあった。
そして、兵団が調査に出て
3日ほど経ったある日のこと。
「エルヴィンさん、おかえりなさい。」
憲兵団での仕事を終え、
食堂に入ってきたエルヴィンに、
エマは厨房から声を掛ける。
「エマ。まだ仕事をしていたのか?」
エルヴィンは壁にかかった時計に目を向け、
心配そうにエマの側に寄った。
「いえ、仕事ではないんですけど。
明日は休みなので、まだ寝るのが勿体なくて。」
エマは厨房から出ると、
エルヴィンに笑いかける。