第26章 涙の意味
「……この部屋、
あんまりいい思い出ないんだけどなぁ。」
ジャンに連れられて入ったその部屋は、
まだエルヴィンと付き合っていた時の調査前、
リヴァイに突然唇を奪われた場所であり、
エルヴィンが他の女性と
唇を重ねているところを
目撃した場所でもあった。
「仕方ないだろ?今空いてる部屋、
ここくらいしかないんだから。」
ジャンはそう言うと、
ポツンと佇むベンチに座った。
「多分この両隣の空き部屋でも、
そういうことしてんだろうな。」
「……待って、その言い方どうなの?
今から何するの?」
明らかに動揺しているエマの口調に
ジャンは思わず吹き出すと
「そんな警戒しなくていいだろ。
ただ息抜きに
付き合ってもらおうと思っただけ。」
そう言ってエマの手を引き、
隣に座らせた。