第5章 違和感と混乱
次の日も、その次の日も、
数日間に渡って
リヴァイと顔を合わせることは
殆どなくなり、エマの心の中に
不安な気持ちが過り始める。
そんなある日の夜、
エマは部屋でレシピを考えながら
『リヴァイさん、一体何してんだろう。』
ふとそう思い立ち、
基地の出口に向かった。
『……待ち伏せでもしてみるか。』
ちょっとした悪戯心もあり、
エマは基地の建物の陰に隠れ、
外の様子に目を凝らした。
すると、
「エマさん?何してんの?」
基地の中から、エレンに声を掛けられる。
「あ。エレン。
こんな時間にどうしたの?」
「いや、それはこっちのセリフだけど。」
エレンはそう言いながら、
エマの横に座り込む。
「何か探し物?」
「いや、そうじゃないんだけど……」
エマがそう言ったその時、
馬車が一台、基地の前に止まった。
「こんな時間に馬車?」
エレンはそう言って立ち上がろうとするが、
エマに腕を引かれて、また座り込む。
「……エレン、ちょっと様子見させて。」
エマは小声でエレンに言った。
エレンは口に手を当てて頷くと、
二人は馬車の中から出てくる人に目を見張る。
「リヴァイ兵長と………誰?」
エレンは小声で言いながら、
暗闇を見入るように目を細めた。
「………女の人だね。」
エマの最悪の予感は的中した。
リヴァイは、一緒に馬車から
降りてきた女性の手を握り、
何かを話している様子だった。