第26章 涙の意味
次の日。
エマは食堂で仕事をこなしつつ、
励ましてもらいたいと声をかけてきた
兵士の気持ちに応えていた。
力強く抱きしめられたエマは、
そっと兵士の腰に手を回す。
エマを離した途端、
「……ありがとうございます。
あの、このことは兵長に……」
と、兵士はバツが悪そうに俯いた。
エマは兵士の手をそっと握ると
「大丈夫、言わないです。
無事に帰ってきてくれるのを待ってますね。」
そう言って兵士を安心させるように
微笑みかける。
朝からこのやり取りを
何度繰り返しているのだろう。
リヴァイが日頃からどれだけ脅しを
かけているのか分かってしまうようで
思わず吹き出しそうになる。
「ありがとうございます!
頑張ってきます!」
兵士は敬礼のポーズをとった後、
足早に食堂を後にした。
兵士の後姿を見送りながら
『リヴァイさん、結局どうするんだろう……』
と、不意に考えを巡らせてしまい、
その考えを振り払うかのように
首を回すと、再び仕事に戻った。