第26章 涙の意味
「そうかも知れません……
でも調査兵団で働く人間として考えたときに、
やっぱりここで自分の我儘を
通すべきではないと思ったんです。」
「お前はこの兵団の人間としての
自覚がありすぎるんだよ……」
リヴァイは小さくため息を吐くと、
エマを強く抱きしめた。
「お前が少しでも嫌がる素振りを見せたら、
俺は断るつもりでいた。
だから、今もまだ断る気でいる。」
「いや、でもそれじゃ、」
「お前はもっと俺に我儘を言えよ。
仕事だから仕方ないと割り切り過ぎだ……」
リヴァイの声は
どこか寂しそうにも聞こえ、
「リヴァイさん、すみません……
でも、ちゃんと割り切れてる訳でも
ないんです……」
と、リヴァイを強く抱きしめた。
「心の中では相当悶々としてますし、
リヴァイさんが自分以外の女性に
触ることすら嫌です。
……それでも、自分が少し目を瞑れば、
生きて帰れる人間が増えるかもしれない。
リヴァイさんも悔いが残らないかもしれない。
それなら私は少しくらい
我慢すべきだと思うんです。」
リヴァイはエマを抱きしめたまま、
口を閉ざす。