第26章 涙の意味
「エルヴィンだってもう若くないんだから。
調査の三日前になる度に情欲に塗れた
兵士たちの相手してたら、
そろそろ身体にガタが来るんじゃないの?」
「……自分ではまだ若い気でいる。
問題ない。」
ハンジは大きくため息をついた後、
立ち上がると
「好きな女以外抱く気になれない
って言えばいいじゃん。
エルヴィンがいつも快く受け入れるから
兵士たちにとってエルヴィンが
調査前に優しくしてくれるのは、
当たり前みたいに思っちゃうんでしょ?」
そう言ってエルヴィンに視線を送る。
「……そうだな。
だが今の私にできることと言えば、
こうして面倒な書類をこなすか
兵士の士気を高めるために
身体を許すことくらいしかない。」
「相変わらず頑なだね、エルヴィンは。」
呆れたような声でそう言ったハンジは
「自分の身体を傷め付けてまで
責任とやらを全うする必要はないと、
私は思うけどね。」
と、呟くような声量で言い、
部屋から出て行った。