第25章 存在意義
「まぁエレンが付いてきたのは
誤算だったけどな。」
ジャンはそう言うと、
あからさまに不快そうな表情を
浮かべてみせる。
「……ごめんっ、ありがとう………」
エマはやっとそう言うと、
ジャンの胸に顔を伏せた。
「……いいよ。」
ジャンはそっとエマを抱き寄せ、
「でもエマさん、一人で何でも
しようとするの、ほんとやめろよ。
さすがにあれは最善の策とは
思えなかったんだけど。」
と、エマの行動を批判する。
「俺が喧嘩で多少怪我したからって
調査に支障は出ないよ。
と言うか、あんなふざけた奴らに
殴られたとしても、痛くも痒くもないからな。」
ジャンは少し笑いながら言う。
「でも、もしエマさんの身に何かあったら、
俺はそっちのほうが傷付くんだけど。」
エマはジャンのその発言を聞きいて
また涙を溢し、
「やっぱり、私がいなかったら、
ジャンだって、そんな思い、
しなくて済んだのに。」
と、声を詰まらせながら言った。