第25章 存在意義
基地に帰り、
エマは今日の事を思い出しながら
夕食の準備に取り掛かる。
ジャンやエルヴィン、
それにリヴァイやエレン、
そしてピクシスにまで迷惑をかけてしまった。
……それも、調査前のこんな忙しい時期に。
自分なんかの為に、
時間を割いてくれたことを感謝すると同時に、
罪悪感を覚えずにはいられなかった。
自分がもしこの兵団にいなければ、
誰にも迷惑はかからなかったはずだ。
そして、エルヴィンにあんな言葉を
言わせることもなかっただろう。
自分がここにいる存在意義は何なのだろう。
リヴァイに対して口を突いて出た一言から、
自分はこの道を選んだ。
そのことを後悔はしていない。
ここに来なければ、塀の内側の、
さらに鳥籠の中で、
自由を欲することもなく、
誰かを信頼することもなく、
同時に、誰にも信頼されることもなく
一生を終えたのだと思う。
今考えれば、そんな一生は、
死んでいるも同然に思える。
だが、その気持ちをずっと知らなければ
それはそれで、
生きるのに支障はなかったのだろう。
死んだように生きたとしても、
それに気付かずにいられたのだろう。
やはり自分はこの兵団に
来るべきじゃなかったのかも知れない。
エルヴィンやジャンの気持ちにも
応えることができず、
ただ自分が混乱を招いているだけの
存在にしか、思えなくなっていた。