第24章 生きている価値
「すまない……
君を守りたい一心だったんだ。」
エルヴィンの腕はエマの心をも、
熱く掴むようだった。
「……自分が死ぬことより、
君が痛めつけられることの方が怖かった。」
エマはエルヴィンの背中に手を回し、
「……なんで、何でそんなに
想ってくれるんですか……?」
思わずそう問いかける。
エルヴィンは少し笑い、
「それを君に伝えたら、
引かれてしまうかもしれない。」
そう言いながら、エマの髪を撫でる。
「だが、私にそう思わせるくらい、
君は私にとって必要な人間だという事だよ。
君自身にも、それを分かって欲しい。
そしてもっと自分を大切にして欲しい。」
「……エルヴィンさんこそ、
もっと自分を大切にしてくださいよ……」
エルヴィンの発言に反論する様に、
エマは呟いた。
「私にとっても、
エルヴィンさんは必要です……」
エルヴィンを抱きしめる手に、力が入る。
「……ありがとう。
君がそう言うのなら、私はもう少し
自分を大事にしようと思う。」
エルヴィンはまた少し笑うと、
エマの気持ちを落ち着かせるように
優しく背中を摩った。