第23章 望んでいない再会
「良くねぇよ!
おい!俺殴ればいいだろうが!?」
ジャンは声を上げ、
長髪の男に掴みかかろうとするが、
他の男の手によって阻止される。
「ありがとうございます……」
だが、エマが頭を下げたと同時に
長髪の男は後から来た男の一人に
小声で何かを指図し、
指図された男と、もう一人の別の男が
ジャンの腕を乱暴に掴んだ。
「話が違いますけど。」
エマは長髪の男を睨みつける。
「いや、違わねぇよ。
こいつには手を出さない。
だが、代わりに団長さんに来てもらおう。
おい、そいつを調査兵団に連れて行って
団長だけ呼んで来させろ。」
長髪の男は心底楽しそうに言った。
エマは長髪の男の目を睨んだまま
頭を働かせる。
自分の計画通りには全く進まないし、
むしろどんどん状況は悪化している。
どうにかしてこの最悪な状況を
乗り切らなければ、
次はエルヴィンに迷惑がかかる。
だが、いい案は何も浮かばないまま、
ジャンは長髪の男の仲間たちに
連れて行かれた。