第23章 望んでいない再会
「大丈夫。巨人に比べたら、
こんな男、怖くも何ともないよ。」
ジャンはそう言って
エマの手を強く握る。
自分を引き留めたい気持ちが、
その熱い手を通じて伝わった。
だが、
「これは私が招いた問題なの。
ジャンに喧嘩なんかさせられない。」
エマはできるだけ優しい声で
ジャンにそっと耳打ちした。
「なに、お前、
こんな子どもにまで手ぇ出してる訳?」
顔を寄せて会話をする二人を見て、
長髪の男は呆れたような顔で
エマに言った。
「そうですね。
未成年ですけど、優しくて恰好よくて、
いい男なんですよ。」
エマはそう言って再び男に近付き、
そっと手を握る。
「……だから、お願いします。
私は何でもするので、
その人だけは見逃してもらえませんか?」
長髪の男はエマの顔を見入って、
少し考える様に顎元を手で摩る。
そして、
「分かった。いいだろう。」
と、ジャンを横目で見た。