第23章 望んでいない再会
そしてまた、
長期壁外調査の日が近付く。
そんなある日、エマはジャンと
内地の街に買い出しに来ていた。
「ジャン。荷物、私も持つよ。」
エマは両手に買い物袋を抱えた
ジャンに声を掛ける。
「いいよ。大して重くもないし。」
ジャンは軽く袋を持ち上げて見せた。
「でも私、何も持ってないんだよ?」
エマは自分の両手を広げて見せるが、
「俺はこれから、
優しい男になる予定だから。
このくらいさせてよ。」
ジャンはエマを横目に歩き出した。
訓練の成果が出ているのか、
それとも精神面が強くなったからなのか、
ジャンは出会った時よりもずっと逞しく見える。
「もう十分優しいと思うけど。」
そう呟くように言うエマに、
「いや。このくらいじゃ
エマさんは揺らがないから。
俺の愛情が伝わるような、もっと心に
響く優しさをみせねぇとな。」
ジャンはニヤリと笑って見せる。
「あんまり動揺させるようなこと
言わないでよ……」
エマは少し頬を赤らめた。