第22章 相変わらずの目撃者
「……ジャン、覗いてたってこと?」
「部屋からあんないやらしい声聞こえたら、
普通の男なら覗いてみたいと思うだろ!」
ジャンはその時のことを思い出し、
少し頬を赤らめた。
「もう今にも死ねそうなんですけど……」
エマはそう言いながら
深く頭を下げる。
「薬のせいだったんだ、仕方ないだろう。」
「……薬のせいだとしても、
これって完全にリヴァイさんに対する
裏切りですよね……」
肩を落としているエマの頭を、
慰める様に撫でるエルヴィンは、
「君が自分を責めたくなる気持ちも
よく分かるが、
自ら進んで薬を飲んだわけじゃないんだ。
そんなに思い詰めるな。」
と、小さくため息を吐く。
「……それでも
このことをリヴァイさんが知ったら、
相当傷付きますよね?
私だったら絶対嫌です……」
エマは今にも
泣き出しそうな声で言うと、
「そうだろうな。」
エルヴィンはそれだけ言って、口を噤んだ。