第22章 相変わらずの目撃者
「すみません……」
思わず謝るエマに、
「いや、いいんだ。
聞かれて困るような話はしていない。」
と、エルヴィンはエマの横に座る。
「だが、少し重い話だったかも知れないな。」
「少しどころか……
もう押しつぶされるかと思いましたけど……」
エルヴィンは
エマの発言に吹き出すと、
「笑いごとじゃないですよ!
私だけがかなりの幸せな者じゃないですか!」
そう言ってエマは声を荒げた。
と同時に、また涙が零れそうになり、
目を伏せる。
「二人の気持ちが、素直に嬉しかったんです……
でも、そんなこと言っていい立場では
ないですよね……」
エルヴィンはエマの震える肩を
そっと抱き寄せ、
「いや。そう言ってもらえると
君を想っていた甲斐がある。
そうだろ、ジャン?」
と、ジャンに問いかける。
「はい……勿論です。」
ジャンは自分が涙を浮かべていたことを
思い出し、
袖で目元をゴシゴシと拭きながら
返事をした。