第22章 相変わらずの目撃者
「団長、恰好つけすぎですよ……」
ジャンは思わず拳を握りしめる。
「そうだな。
だが、恰好つけてこその男だろう?」
エルヴィンはそう言って静かに微笑んだ。
「ジャン。そんな顔をするな。」
今にも泣きだしそうな表情のジャンに、
エルヴィンは優しく声を掛ける。
「……すみませんっ、
俺も、団長みたいになりたいです。
でも団長は、色んなことあったのに、
そんな一途に想い続けるなんて………
俺にはできない気がします……」
ジャンは込み上げてくる感情を、
必死で抑えながら言った。
「そんなことはないだろう。
君も十分一途だよ。」
エルヴィンは小刻みに震える
ジャンの肩を摩った。
「だが、単に一途がいいと言う訳でもない。
君はまだ若いんだ。
もっと色んな女性を見ればいい。」
「俺、諦めきれるんですかね……」
エルヴィンはその言葉に
少し考えるように沈黙した後、
「エマより魅力的な女性が現れれば、
自然と諦めきれるだろう。」
と、頬を緩ます。
「……そんな人、
この世にいる気がしないです。」
「同感だ。」
エルヴィンはジャンの発言に即答し、
楽しそうに笑った。