第22章 相変わらずの目撃者
ジャンはエマを見つめるエルヴィンの
穏やかな表情を目の当たりにし、
少し胸が痛むのを感じた。
この人は、こんなにもエマさんを
想ってるのに、何で自分から
手放すことが出来たんだろう。
やっと手に入れたはずの幸せだったのに
どうしてその幸せを守らないんだろう。
「………エルヴィン団長。」
「何だ?」
「エマさんを手放したこと
後悔してないんですか……?」
ジャンはそう言うと、唇を浅く噛んだ。
「俺、やっぱり、
団長とエマさんが一緒に居る方が
安心できます……」
こんな余計なことを
言っていいのかと思いながらも、
エルヴィンのエマを見る
優しい表情を見ていると、
言わずにはいられなかった。
「エマさんは、団長と一緒でも
十分幸せになれたんじゃないですか?」
エルヴィンはゆっくり立ち上がると、
ジャンの頭に手を置く。