第4章 料理長らしく
その日の夜、
エマが食堂の掃除をしているところに
エルヴィンが姿を見せる。
「エマ。お疲れさま。」
エルヴィンはそう言うと、
エマの側に寄った。
「エルヴィンさん。お疲れさまです。」
エマは笑顔で声を掛けるが、
あまり冴えない表情のエルヴィンに
「エルヴィンさん、何かありましたか?」
と、問いかける。
「ああ。少し厄介なことになってね。
料理長としての君と話がしたいのだが、
今少し時間をもらえるかな?」
エルヴィンはそう言うと、
椅子に腰かけた。
エマはエルヴィンの隣に座ると、
「……食料難の話ですか?」
そう言って、エルヴィンの目を見入る。
「よく分かったね。そうなんだ。」
「最近買い出しに行くとよく聞くんです。
今年は不作の年だって話を。」
エマは小さくため息を吐いた。