第9章 最高で最悪な一年
いらいらした私はつい言ってしまった。
「は?」
『松田陣平の嫁です。私が。二人子供もいます。』
「な、なんで」
『大学三年の時から付き合っています。』
『警察学校を卒業してからすぐに結婚しています。』
『これ以上私の旦那に近づかないでもらえます?』
イライラを隠し切れなかった私はつい言ってしまった。
『苗字が一緒でしょ。』
「た、たまたまなんじゃないですかね??」
『私の旧姓は古都峯です。』
「で、でも証拠がありませんよ」
いつまでも納得いくような顔をしない彼女に
警察学校の卒業式に二人で婚姻届と一緒に撮った写真と
子供と一緒に撮った家族四人の写真を見せた。
「うわ、ほんとじゃん」
『納得したなら二度と近づかないで。仕事に戻りなさい』
「はあい」
渡辺と話し終わった後風見が話しかけてきた
「櫻さん、降谷さんから書類預かってきました。」
『はあ。ありがと。』
「何か?」
『諸伏、まだ帰ってきてないの?』
「え、ええ」
『そっか。これ、悪いけどまた零に渡してくれるかしら。急ぎなんだけどこれから私出ないといけなくて。』
こういう話を笑いながら聞いてくれるひろはいろいろ話せる仲になっていた。
一番会う機会の少ないひろ。
零とはよく仕事で会うし、班長は一番家に顔を出してくれる。
彼女のナタリーさんと一緒によく子供の面倒を見てくれる
みんなで飲みに行ったのなんて警察学校時代が最初で最後だった。
また飲みに行きたいな