第5章 小さな命
「松田!」
『ごめんなさい…1回目に爆発した時もう一個の爆弾が見えたの。時間がなかった。じんやと神主さん守るには解体するしかなかった。死ぬかもしれないと思った。でも、いきたかった。3人でまた笑って幸せな生活がまだ送りたかった。」
いつだってさくらは言ってた。
(『私1人の命でたくさんの人が助かるなら、たとえ大事な人がいようと私はその身で他の人を守る。死にたくはないけど私はこの国が好き。この国の笑顔を私は守りたい。』)
それを久々に思い出した俺は
「やめてくれ。」
なんて言えなかった。さくらが死ぬことが考えられないから。
「さくら、松田はさくらのことすごい心配してたよ。国民の命も大事だけど、さくらも日本の国民だよ。自分の命も大事にしてって。きっと松田は思ってるよ。」
『うん。もう無茶しない。ごめんなさい。』
「よし、いいこだね。目が覚めたばかりで悪いけど上から連絡あったよ。松田にその紙渡したから退院したら見てね。ゆっくりでいいって言ってたから。」
「それじゃあ、帰るね、お大事に」
その会話を聞いてた俺はただただ冷静になるのに必死だった。
「あ、ああ。気をつけて帰れよ。わざわざありがとうな」
手を振って帰った諸伏を見送って
「わりぃ。死ぬんじゃねえかと思ったら怒らずにいれなかった。」