第6章 問題4 江戸って京都?
声を掛けた瞬間にいきなり抱きかかえられていた手が離れてしまった為、優姫は後頭部をぶつけまた頭を抱えて悶えるのだった。
「いたァァァ !!!! 」
後頭部を押さえ込んでいる優姫の事など全く気付かず、十四郎は口元を押さえたまま固まっていた。
(俺今何してっ… !! )
無意識だったけれど身体が優姫の事を求めていたのかキスをしてしまった。
(落ち着け俺……こいつ何歳だと思って…っ)
(これじゃあ完全に変態じゃねーかよっ!)
自分の意外過ぎる趣味に悶えていると痛みが治まったらしい優姫がひょいと覗き込んできた。
「土方に―ちゃん?」
いきなりの優姫のどアップに十四郎は座ったまま部屋の隅まで下がってしまう。
「 ???? 」
いきなりの反応にどう答えれば良いのか分からず、出しかけたまま止まっている手を見て優姫は反応を待っていた。
一方の土方はなんと話しかければ良いのか分からず、顔を真っ赤にしたまま優姫の事を凝視していた。
(ととととととにかく落ち着……落ち着けェェェ !! )
自分に怒鳴りつける事でなんとか落ちつこうと葛藤していると、何時の間にか目の前まで来ていた優姫が額に手を当てて言うのだった。
「顔赤いけど大丈夫?」
軽く首を傾げて尋ねて来た優姫の手をぎゅっと握りしめ、無言で十四郎は見つめた。
「?」
何も感じていないのか優姫は全く表情を変える事なく首を傾げる動作をし十四郎は優しく、けれど力強く抱きしめた。
「土方に―ちゃ……ん?」
何度呼びかけても返事の無い十四郎の事を心配そうに呼びかけると無言で、それで真剣な眼差しを十四郎はしていた。
「ひじ……」
両肩を捕まれるのと同時に引き寄せられ唇が後五センチで触れそうになった時、
「湿布持って来たよォォ優姫ちゃ――――ん !! 」
すぱ―ん、と勢いよく襖が開いて救急箱を片手に持った近藤が勢いよく入ってきた。
「ん?トシ何してるんだ?」
近藤は十四郎の姿を見てそう尋ねた。
十四郎は優姫の両肩を掴んだままゼェゼェと呼吸をしているのだ。
「土方……に―ちゃん?」
優姫は何が起きていたのか全く分からず、変な状態である十四郎の事をぽか―んと見ている。
「マジでヤベェ…………」
もし近藤が来ていなかったらきっとキスしてしまっていた。