第20章 問題18 攘夷祭り~前編~1
晋助が祭りに来たと知ると優姫は急いで辺りを見回してみた。
其処に晋助の周りにいたメンバーは一人もいない。
「お祭り一人 !? 」
ソワソワと尋ねてみるとはっきりと頷かれたので優姫は素早く手を挙げて言う。
「一緒に行こ!お祭り !! 」
目を輝かせる優姫の頭を撫でつつ、晋助は源外に声を掛けた。
「復讐したくねーか」
「…………オメェ確か攘夷浪士の……」
指名手配犯である高杉の顔を源外はしっかりと知っている。
と、なるとその晋助にべったりくっついている優姫は……。
「嬢ちゃんオメェ……」
「?」
深刻そうな顔でこちらを見てきたので優姫は不思議そうに首を傾げた。
「用事終わったの?」
一通り源外と話をして去って行った晋助の後を優姫は追っていた。その姿をちらっと確認して晋助は言う。
「終わったさ」
「お祭り終わるまで江戸にいるの?」
どうも祭りの事ばかり気にしている優姫に晋助は尋ねた。
「真選組の奴等と祭、行かないのか?」
「お仕事あるんだって――」
シュンとした優姫に晋助は乱暴に頭を撫でて言う。
「じゃあ仕方ねェから祭は俺が連れていってやる」
「本当――!」
「ああ」
はっきりと返答した晋助に優姫は嬉しそうに飛び跳ねて言う。
「おっ祭りおっ祭り!」
「キュッキュッ」
便乗して鳴くシンの姿を見ていた晋助は優姫にはっきりと言った。
「その代わり、俺と行く事は誰にも言うんじゃねーぞ」
「了解です!」
シュビッと敬礼した優姫に晋助は自然と顔がほころびてしまうのだった。
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「シン無事に保護したよ――!」
シンを抱き上げつつ万事屋に突撃するとすぐに銀時が吹っ飛んできた。
「お帰り優姫――!」
「ただいま――」
へにゃっと笑った優姫に向かって新八は言う。
「あ、そう言えば優姫ちゃん用事が合って来たんだよね?どうかした?」
そう言われて本来の目的が『一緒に祭りに行こう』だった事を優姫は思い出した。
しかし既に祭り当日は晋助と一緒に回る事になっている。少し考えた優姫はにぱっと笑顔で答えた。
「遊びに来たの――」
「じゃあいっぱい遊んでやるぞ――!」
相変わらずデレデレの銀時を新八と神楽は同時に蹴り飛ばすのだった。
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