第20章 問題18　攘夷祭り～前編～1

　祭りに行きたい、と言わんばかりの表情で優姫が見てきているので、また前回の様に十四郎は折れた。

「……仕方ねェな……」
「うわ――い！今から万事屋行ってくる―― !! 」

パタパタと走り去っていく優姫に近藤は慌てて言う。

「ちゃんとハンカチ持った !? ちり紙大丈夫 !? 門限までには帰って来るんだよ !! 」

　完全に保護者になってしまっている近藤に十四郎は溜息を漏らした。

「は――い！」

　優姫は嬉しそうに屯所を飛び出して万事屋へ走って行った。


◆


「あれっ？」

　万事屋へ向かって走っていると、橋の下の方で銀時達の姿を見て優姫は笑顔で手を振った。

「銀にーちゃん――！」

　その声に銀時はバッと顔を上げて言う。

「優姫ちゅあ～～～～ん！」

　その情けない姿と言ったら。その場に居た全員が冷たい目で銀時の事を見つめていた。

「何してるの――？うわぁ――！」

　河川に降りてきた優姫は山積みになっているロボットを見て嬉しそうに近寄っていた。

「ロボットがいっぱいいる――！」

　きゃーきゃー触る優姫に老人は慌てて言う。

「おうおう嬢ちゃん！それ大事なモンだからあんまり触らないでおくれ」
「はーい」

　ぱっとロボットを触るのを止めて優姫は言った。

「おじーちゃんだーれ？」
「俺の名前は平賀源外。江戸一番のカラクリ技師だ」

　ドン、と胸を張って言う源外を見てから銀時に尋ねた。

「カラクリってなーに？」
「其処に転がってる大量のだよ」

　銀時が指さすのはロボットの山。

「あれおじーちゃんが一人で作ったの――？すごーい！」

　パァっと目を輝かせて尋ねて来るのだから流石の源外も顔を赤くしていた。

「まあな」
「すごーい。動くの――？」

　再びロボットの山に寄っていく優姫に源外は言う。

「まあ直せば動くな」
「動いてる所見たいでーす！」

　シュビッと手を挙げると源外は神楽の方を指さした。

「あそこにいる三郎なら動いてる……って腕もぐなァァァァ !!!! 」

　すっかり両腕を失っているカラクリ三郎の姿を見て叫ぶと神楽はさらっと言うのだった。

「ロケットパンチしただけアルよ」
「そんな機能付いてねーよ！腕もいだだけじゃねーか !! 」

　全体的にボロボロになっているのを見て源外は膝をつきながら言った。