【原作沿い夢小説】私とー日常編ー【復活/雲雀恭弥】
第7章 第5話 私と怪我人
「……たけちゃんまで母さん達みたいにいなくなったら嫌だ」
「音羽……」
死んだ直後の母さん達の姿を私は見ている。居眠り運転の車に突っ込まれ、即死で亡くなった両親の血塗れで冷たくなった死体を。
たけちゃんまであんな風になったら嫌だ。
「……本当にもう大丈夫だから、な?」
「……約束だよ」
「おう、約束だ」
にこっと笑ってくれたたけちゃんは、何か吹っ切れたのかいつものたけちゃんに戻っていた。
「あ、そうだ」
「ん?」
ぽん、と思い出したかの様に私の頭をぽんぽんと叩きながら、たけちゃんは言ってきた。
「お前明日昼空いてるか?」
「うん、空いてるけど?」
急な話ではあったけれど、別に特段用事がある事はない。一瞬雲雀の姿が過ぎったけれど、なかった事にしておこう。
大丈夫だと私がそう答えれば、たけちゃんは笑顔で続きを話してきた。
その表情は本当に嬉しそうな表情であって、珍しさすら感じてしまう程に。
「お前に紹介したい奴等がいるから、明日昼屋上で弁当な」
「へ――、珍しいねぇ」
他人から好かれやすいたけちゃんの周りには、常に人がいる。誰かを紹介していたらキリがない位に。
そんなたけちゃんが人を紹介したいと言うのだから、本当に珍しかった。
「そんなに気に入ったんだ」
「面白い奴等だぜ」
「じゃあ期待しようっと」
明日の予定が決まった。たけちゃんが会わせたいって人って、たけちゃんの事助けてくれた人なのかな……。
そうだったら楽しみだな。
(2022,3,21 飛原櫻)