第12章 降りし日は、貴女と。【All Characters 別邸✉】
「テディちゃん、………逃げたな」
「今回ばかりは私も同感です」
寝台にかけられていた毛布を引き寄せ、さっと彼女の肩に被せた。
「……ありがとう」
毛布に身体をくるんで、ゆら、ゆら、と揺れる炎をみていると、瞼が重くなってくる。
ふら、と座ったまま傾きかけたその身を、力強い腕が抱き留めた。
「わっ、………主様」
「すぅ、………すぅ、」
眠ってしまった彼女にしっかりと毛布を巻き付けて、彼女を抱き上げた。
「おやすみなさいませ、ヴァリス様」
そっと寝台へ下ろすと髪を撫でる。
その優しい手付きに安心して、意識が完全に夢幻へと沈み込んだ。
………名残惜しそうに解かれた指が誰のものなのか、彼女だけが知らない。