• テキストサイズ

訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第11章 慈しみの雨【🌹 → 主 ← ✝️ ✉】


下記より、ハウレスSide】


「っ………。」
かち合った瞳に、思わず身を翻す。

眉根を寄せ、染みの広がっていく胸元を握りしめた。



(……主様、)

頭では今すぐ引き離すべきだとわかっているのに、凍てつくその身はその思考さえも拒んだ。



「……俺も、弱くなったものだな」

浮かべた苦い笑み。

その腕のなかの彼女は、心からアモンを心配していたのが見て取れて、

微笑いあうその姿は、とても穏やかで幸せそうに視えたのだ。



「せめて、許されるなら——」

声にならない願望(ねがい)をつぶやく。

静かに見守る彼を讃えるように、花の匂いが吹き抜けた。
/ 168ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp