• テキストサイズ

訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第10章 魔女たちの仮面☩マスケラ☩【🦾 → 主 ← 🌹】


「武器を捨てろ………さもなきゃ掻き切るぞ」



「っ………!」
唇を噛みしめながらも、ボスキを睨みつける。



「貴方……悪魔執事でしょう!? 便利屋風情がこんな事をして許さ———」



「生憎っすけど、オレ達が従うのは主様だけなんで……ね」

冷たい眼が彼女らを射抜く。そのさまに吐息を呑み込んだのちに。



「いまだ!」

いくつもの足音が、ばたばたと近づいてくる。

ドアを蹴破り、入ってきたのはグロバナー家の偵察隊だった。



「貴様ら、観念しろ……!」

逃げようとした影を引き倒し、次々と拘束されていく。

取り押さえられた女領主は、唇を歪め吐き捨てた。



「覚えていなさい。この屈辱は必ず晴らすから……!」

引き摺るように連行する。

そのさまに、かつてみずからに向けられた眼が重なった。



「……主様!」

ふらついたその身を支えてくれる。

心配そうにみつめてくる瞳に、彼女は笑みを向けた。



「平気だよ」

蒼褪めたおもてで笑いかける。

そのまま離れようとしたその身を、引き止めるように手首を引いた。



「……っアモン?」

驚く声を無として抱きしめる。



(あなたは、その細い身体に、一体なにを抱えているんすか)

言葉もなく、ただ腕に力が篭もる。

今だけは、そうしていても許される気がした。
/ 242ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp