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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第9章 いたわりの花束【All Characters(2階組) ✉】


(あなたは、)

いつだってその温かな心根で、周囲の人間をも包み込んでいく。

その言動に、その強さに、その優しさに。どれだけ救われてきただろう。



みずからに向けられる視線に気づいた彼女が、そっと見返してきた。

深いふかい、澄んだ深青の瞳に囚われる。



「なあに?」

彼女が苦笑する。笑みを描く唇は優しく綻んでいて、つられて微笑みを浮かべた。



温かな陽光の下で微笑む彼女は、本当に美しくて。

彼女は、みずからの容姿を賞賛されることを、最も厭うけれど………。



周囲の評価や、あなた自身の見解は誤ったものだと、心からそう思う。



(あの日みつけた女性。………なのに、あなたがすべてを変えていく)

オレ達を、他のみんなを。



(いつかあなたが、御自分を認められることを——。)

願わくば、ずっと、いつまでも、お傍にいられますように。



彼らの祈りを、花の匂いがさらう。

膨らむ願いを抱えたまま、彼女をただ見つめていた。
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