• テキストサイズ

訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第7章 確認のキスは波乱のあとで【🌹 → 主 ← ❤️‍🩹 ✉】


「立てますか、主様?」

差し出された手をつかみ、立ち上がろうとするけれど。かくん、と力が抜け落ちたままで。



「ご、ごめんなさい。まだ……力が、」
俯く彼女の頬を撫でる。



「失礼するっす」
膝裏に手を差し込み、抱き上げられた。



「アモン……!?」
ひょいと持ち上げられ、咄嗟に彼の服をつかむ。



「お、重いよね……下ろし、」



「大丈夫ですよ、寧ろ軽いくらいっす。それに……」
ちゅ、と額に唇を押し当てる。



「ふれていれば、もう怖くはないっすよね?」

支える腕に力が宿り、胸のなかに包み込まれた。



「アモンくん……そろそろ行きますよ」
先往くラトの声がする。その眼にわずかな棘を滲ませて。



「いま行くすっよ」
腕のなかの温もり。少し震えながらも、しがみついてくる華奢な身体。



(あなたが無事で……本当に良かった)
する……とすこし冷えた手が頬にふれる。



「主様……?」
彼女の瞳に、とまどっている自分のおもてが映った。



「助けてくれて……ありがとう」

微笑うおもてにみつめられ、顔に熱が集うのが自分でもわかった。



「当然っすよ。オレは、絶対にあなたを守るって決めたんですから」

『さぁ……行きましょう』。彼女を抱え、廃墟の屋敷を後にした。
/ 242ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp