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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第7章 確認のキスは波乱のあとで【アモン → 主 ← ラト ✉】


ガタ、ガタ、………ゴロ、ゴロ。
辻馬車を拾い、屋敷へと戻る道中。



(主様……。)

すぅ、すぅ……と穏やかな寝息を立てる彼女を柔くみつめる。

冷えてしまわぬよう、ブランケットをかけ直し、その瞳が優しい色に染まる。



「くふふ……キミでも、そんな顔をするんですね」
楽しげに呟くラト。



「っ……オレにだって、微笑うことくらいあるっすよ」
頬が熱くなるのを感じながら、恨めしげに見やる。



「彼女がいらしてから変わりましたね……キミも、………そして私も」

淀んだ瞳をしながらも、彼女の髪を撫でる。

その手付きは優しくて、眠ったままの彼女の唇が綻んだ。



「ラトさん……。」
物言いたげな瞳に笑みを返す。



「くふふ、私はね……知りたいのですよ。

この胸を満たす感情が、愛情なのか、………それとも憎悪なのか」

穏やかな瞳で彼女をみつめる。



(オレには……絶対に前者だと思いますよ)

喉の言葉を嚥下する。



(ずっと……あなたとともに、)
額に唇を落とす。愛しい者にするような、祈りのキスを。
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