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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第27章 今宵はふたりで【過去作派生中編 ‎🤍→主←🐾 ♟️】


数日後、アンリリス伯爵邸での仮面舞踏会当日。

かた、かた、と揺れる馬車のなか、シロはヴァリスを見つめていた。



この日のためにとフルーレによって誂えられた、ネモフィラの花を思わせる、紺碧色のドレス。



大きく開いた襟ぐりには白いネモフィラの花の模様が繊細なレースが縫い付けられ、


シフォンのパフスリーブの袖は霞のようなヴェールを持って、真っ白な肌の色を透かす。



コルセットで締め上げたウエストの前身頃は白いリボンで編み上げ、



スカート部分は多重の花をさかさまにしたように、


幾重にも重なるサテン生地のペタル装飾


(花弁(ペタル)の形をした布が重なっている服飾的デザイン)と、


アンダースカートには白いチュールスカート、


その下に紺碧色のサテン生地のスカートが重ね合わされ、彼女が動く度にふわりと華やかに広がった。



髪はドレスの友切れのリボンを絡ませ結い上げられ、


耳にはサファイアのドロップ型の耳飾りを、


首筋には銀細工の薔薇とドロップ型にカットされたサファイアが


細い鎖で繋がっている首飾りが煌めく。



彼女の膝の上には、縁にぐるりと一周、大小のサファイアが遠感覚に飾られた白い仮面。

アンリリス伯爵から送られてきた品だった。



(フルーレの腕は見事なものだな)

ベレンと他愛のない話をしている彼女の表情は穏やかで、

紅をのせた唇は柔らかな笑みを湛えている。




(こんなにも美しいというのに、そう称されることを何よりも嫌う女人………。)

馬車の窓から降り注ぐ月灯りが、ヴァリスの髪に星の煌めきを授ける。

ヴァリスが声を紡ぐ度に言葉を形づくる唇を、シロはそっと眺めた。
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