第23章 陽だまりの中で【あくねこ学パロ予告SS、🌟 → 主 ← 🌹】
「髪はボクがやってあげる!」
鏡の前に座るよう促して、さらさらとした髪を櫛られていく。
「何だか久しぶりだね、………ラムリにこうやって髪をセットしてもらうのって」
鏡越しに微笑いかけると、彼は優しい眼をしていた。
「ボク、キミの髪大好きなんだ。ローズくんには、絶対頼んじゃダメだからね!」
綺麗な位置で揺れる髪をみつめながら、彼女は唇をひらく。
「? アモンに? どうして?」
きょとんとした瞳をしていると、件の声がした。
「ラムリ、また朝からヴァリスのとこいたんすね」
そう言って扉が開き姿をみせたのはアモンだった。少しだけ目を眇める彼に、ラムリは唇をひらく。
「あーーーぁ、ローズくんも迎えに来たんだ。ボクだけが一緒に登校しようと思ってたのに!」
「ホント、油断ならないっすね〜〜。ヴァリス、ヘアピン付けるからこっち向いてくれないっすか?」
「う、うん」
前髪に差し込まれたのは、先端に小さな薔薇飾りがついたヘアピンだった。
額に感じる彼の体温に心臓が跳ねたのもつかの間、そっと手を離して満足気に微笑んだ。
「うん、オッケーっす。ヴァリス、今日も可愛いっすよ」
「三人ともーーー、朝ごはんできてるわよーーーー。」
階下から聞こえる母の声に、ぐっと手を引かれる。
「いこう、ヴァリスちゃん!」
「うんっ」
陽だまりの中で、より優しく映える彼女の笑顔。
それぞれの胸に温もりが沁み込んでいく心地を感じながら、ふたりは微笑い返した。