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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第22章 砂糖菓子の鳥籠 Ⅱ 【君という名の鳥籠 予告中編 ♟】


「すぅ、………すぅ、」

穏やかな寝息が聴こえる頃、ルカスはボスキとベリアンを振り返った。



「ベリアン、………ボスキくん。私達が覚えている範囲のことをまとめようか」

何か、あの時のことで覚えていることはあるかな、と告げる。



「なぜかあの靄達、主様を欲しがってましたね」

ボスキの言葉にベリアンも頷く。



「えぇ。………あの方達は、一体何だったのでしょう」

ルカスは顎に手を当てる。



「あれが、『月の廃園』がいわく付きである理由としたら………、」

けれど思い出そうとして、ある違和感に気づく。



「「!」」

割れるような痛みが思考を支配する。

ぐらりと傾いたその身は痛みに耐えきれず床へと倒れ込んだ。


ヴァリス様、と唇を動かした直後、ふっと意識を手放した。




◆◇◆◇◆◇◆◇



「ふふっ……やっと魔法が効いてきた御様子だ」

鏡に映した彼らの姿に、カレッセン公は愉快そうに笑う。



(あの方のことにはまだ気づいていないようだ)

鏡へと冷たい指を滑らせる。



「上手に踊って、僕を楽しませてくれたまえ」

浮かべ笑みは闇に溶けていった。
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