第20章 月嗤歌 ED Side A - II【別邸組 *♟】
「あっ……!」
ぐっと腰をつかんで、激しく突き上げられる。
すがるものを求めて伸ばした指を囚えて、より一層腕のなかへと閉じ込めた。
「ぁ、………あぁっ……!
駄目ぇ、………速すぎ………っああぁっっ!」
ぐちゅぐちゅ、ぱん、………ぱん。体液の混ざり合い、打擲音が鳴り響く。
けれどそれすらも、彼らを煽る材料にしかならなかった。
「駄目ですよ、………逃がしません」
艶音を吸い取るような口付けを交わしながら、ユーハンの指が胸に戯れを仕掛ける。
身を捩って逃げようとしても、その掌の力が解けることはない。
さながら彼らの掌のなかで踊るように乱れるヴァリスに、
彼らが魅せられていることに、彼女自身は気づかない。
綺麗で、いじらしくて、穢してしまいたくなる程に厭らしくて。
自分がどんなに美しいか決して認めない彼女の、それは他者を最上級に惹き付ける姿だった。
「さぁ、………先程も見せてくださったお顔を、私にみせてください」
どちゅどちゅと奥を突かれながら胸を捏ね回されて、快楽が思考を染め上げる。
「やっ……みないで、」
顔を隠そうとした指をすばやくつかみ上げて、その口角を上げる。
「なんで? ………こんなに可愛いのに」
愉悦と快楽が混ざり合い、混濁するように乱れた表情。
ずんずんと最奥をノックするように埋め込めば、より狭まる内壁に身を震わせた。
「っ………そんなに締め付けて……。我慢、できなくなりそ……!」
さらに速度を増した律動。激しく揺さぶりながら、見下ろす瞳。
ヴァリスが何度も達しているのに、止めてくれなかった。
「ぁ、………あああああぁぁぁ……っ!」
「っ……ヴァリス……!」
彼女が登り詰めた刹那、ハナマルは自身を抜き去り、白い腹に白濁を奔らせる。
どろりとした熱い液体が、真っ白な肌を穢していく。途方もなく淫靡な光景だった。
「おやすみ、主様」
猛烈な眠気に耐え切れず、瞼が下がっていく。
夢幻へと堕ちゆく刹那、母の声が聴こえた気がした。