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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第20章 月嗤歌 ED Side A - II【別邸組 *♟】


「ハナマル、私………、」

紡ぎかけた唇に指先があてがわれる。

見上げた視線の先で、ハナマルは優しく瞳を解いた。



「俺を受け入れてくれただけで充分だから」

けれどその双眸の奥には、燻るような情欲の焔が視える。

そのさまに知らず身を震わせると、ふた組の腕がヴァリスを引き寄せた。



「っ………ふたりとも……?」

テディとユーハンのおもてを見上げる。

ぐっと頤を導いて、キスをしたのはユーハンだった。



「んっ………んんんぅぅっっ」

ハナマルに突き上げられながら、ユーハンとキスをしテディに胸を舐められる。

競うように触れられ、その指に翻弄されて、彼女の身体はどこまでも煽られるばかりだった。



「……ヴァリス様………。」

愛おしそうな声で呼ばれ胸のなかへ温もりが滲んでいく。

頬を包むユーハンの掌に指を重ね、自分から彼の唇を求めた。



「っ……ヴァリス………ッ?」

唇を解き微笑って見せる。そして、ありのままの心を音とした。



「皆………大好きよ」

みひらく瞳。遅れて、その指が伸ばされた。
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