第20章 月嗤歌 ED Side A - II【別邸組 *♟】
「……っあ、」
か細い首筋の輪郭をなぞるように、ユーハンの唇が這わされる。
柔らかで薄い唇が素肌を撫でる感触に ぴくん、………ぴくん、と肩を跳ねさせてしまうと、
肩口に触れていたそれは二の腕を伝い、舌先で鎖骨の線を刷いて、胸元へと到達した。
「や、………匂い、かかないで……っ! ひぅっっ」
すん、と肌の匂いを吸い込まれ抗議を口にしかけど、それは半ばで艶音へと変貌る。
ふくらみを辿っていた唇が、徐ろに乳首を覆ったからだ。
「あ、………っぁ、そんなに、したら……!」
涙の膜を纏った瞳でみつめれば、
その快楽の深さを悟ったハナマルが少しだけ身体の位置を横へずらして、反対側の乳首を喰む。
ぱくりと勢いよく口腔内へと誘われ、舌先で弾かれて艶音が零れる。
「どっちが気持ちいい……?」
「ん、………あっ、わ、わからな……っ、ひうっっ」
熱い粘膜に包み込まれ、断続的にかかる吐息ですら過敏に掬い上げてしまう。
びくびくと身体を震わせて、与えられる快楽から逃れようとするその姿は、酷く惹き付けられた。
妖艶で、厭らしくて、そしてこの上なく美しい。
「勿論私ですよね……?」
「な、舐めちゃ………んぁっっ」
ヴァリスが身悶える程に、その唇から自分の名を引き出そうと競い合うように、より強く吸い上げられる。
ぢゅるぢゅると淫猥な音を立てつつ、時折甘く噛まれて、絶え間のない艶音が零れる。
段々とその声音に溺れるような甘さが混ざりはじめていることに気づく余裕もないまま、
ただ二人の与える快楽を享受した。