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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第20章 月嗤歌 ED Side A - II【別邸組 *♟】


「ん、………んぅ」

仄かにゆらめく蝋燭の灯りに浮かび上がる白雪の肌。

しんしんと、静かに降り積もる粉雪のように真っ白で、すらりと均整の取れた華奢な身体。



ヴァリスは寝台の上で膝立ちとなり、

前方をユーハンに、後方をハナマルに座されその腕のなかに囚われていた。



ちゅ、………ちゅ、と顔中にキスの雨を降らせながら、力強い腕がその身を抱き寄せる。



「主様……。」

ぎゅっ……と互いの身体の境界線を重ね合うように強くつよく包み込みながら、

常より切なくかすれた声が彼女を呼ぶ。



指を伸ばしてその頬に触れると、陽に透かしたビイドロのように、

柔らかく、愛おしさに解けた眼差しを注がれた。



頬に触れている指に、そっとユーハンのそれが重なる。



ゆっくりと小さい掌の輪郭をなぞるように指が滑り、

何だか恥ずかしくなってきたヴァリスが視線を解くと。



「ユーハンにばかり構わないでくれ」

ぐっと頤に指をかけ、ハナマルが自分のほうへと彼女のおもてを向き直らせる。



そしてすぐに熱い舌先が口腔内へと滑り込んできて、その唇の熱に驚いてしまう。

いつもの姿からは想像もつかぬ程の情熱と執拗さを持って、彼女の舌を求めた。



ちゅ、………ちゅる、彼女と熱を分かち合いながら、ハナマルの指が羽織っているジャケットに触れた。



「っ………。」

一瞬だけその身を強張らせたヴァリスの後頭部に沿えた指がさらさらと髪を撫でる。



大丈夫だから、と伝うような優しい指の感触に気を取られていると、

その肩にかけられていたジャケットが儚い肩を滑り落ちていく。



眼前に晒された素肌に吐息を封じられ、

慌ててシーツを引き寄せたけれど、その指は素早く絡め取られる。
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