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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第17章 月嗤歌【All Characters(別邸組)✉*♟】


「あいつらはよくて、俺はそんなに嫌なんだな」

凍えるような怒りを含んだ声だった。

その言葉に思わずその身を震わせてしまうと、冷たい視線が身体のラインをなぞる。



(皆……!)

心で彼らを呼んだ、その刹那。



「主様!」

慌ただしく扉がひらかれ、ユーハンが入室してくる。



「主様、あの男は———、」

彼は組み伏せられているヴァリスと、

華奢な彼女の上にのしかかっているレビを見るなり顔色を変える。



「っなぜここに、」

わずかにたじろいだレビが口にする。


その声には仄かな動揺が滲んでいて、ユーハンは唇をひらく。



「あの程度の小細工で私を足止めできると思わないでください」

冷たく言い放つとその肩をつかむ。

ぎし、ぎし、と骨が軋む嫌な感覚を与えながら、レビを彼女から力づくで引き離した。
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