第2章 あくねこ創作における瞳の色の宝石チョイス手帖
彼の左眼の表現に用いた辰砂には、その赤色から
火の色であり、体内に流れる血の色と連想され、
そこから生命を支配するエネルギーであると考えられるようになりました
古くから酸化鉄の鉱物ヘマタイトをすり潰して得られる赤い顔料を、
祭祀の道具や、さらには自身の身体にも塗り、色のエネルギーにあやかろうとしました。
そこに登場したのが、水銀朱系の真っ赤な鉱物「辰砂」だと言います。
民間信仰から「不老長寿」の思想が始まった中国では西暦4世紀頃、
この鉱物の鮮やかな赤い色は精神を高揚させ肉体を不老にさせる霊薬を考えられ、
さらには宗教的な考えとして浸透していきました。
道教では辰砂などを原料とした「丹薬」が作られ、
それを服用すると不老不死乃の身体が得られ、空中を飛行でき、
神仙の境地に達することができるとされました。
しかし、皮肉にもその鉱物は科学知識のない時代において、
人体の凶器として働きました。
この希少な鉱物を独占的に入手した権力者たちに待っていたのは水銀中毒であり、
歴代の中国皇帝たちにはこの中毒によって命を縮める者が多く、
現在では「命を縮める顔料」というあまりに残酷な真実が知られています。
この鉱物のいくつかのなかにある、
「情熱」:いつも詩的な言葉で夢主のことを称える彼の姿、
「生命力」:メインストにて孤独な少年時代を送りながらも、
その境遇に屈することなく強く生きてきた彼自身の強さを込めました。