• テキストサイズ

訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第3章 うたた寝と時雨【✝️ ⇋ 主 ✉】


「ハウレス、次はなにを買うの?」
中心街、エスポワール。行き交う人々に呑まれてしまわぬよう、手を取り合って進む。


「刺繍糸と魚と薬酒……これで全部です」
微笑みながら告げると、彼女はつと足を止めた。


「主様……?」
彼女の視線の先に、宝飾品店のショールーム。


そこに飾られているのは首飾りだった。

レースのように繊細に連なる白銀の細い鎖に、精巧な造りの薔薇が繋がっている。


「あの首飾りが欲しいんですか?」
その言葉に、はっとしたようにその瞳が冴えわたる。


「う……ううん。みているだけで充分だよ」
『いこう』。そう言って手を引いた時。


ぽたり。繋いだ手を打ったのは雨だった。瞬く間に降り出し、ヴァリスの髪を濡らす。


「主様、こちらへ! 一先ず雨宿りしましょう」


「うん……!」
/ 242ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp