第2章 ハート海賊団
夜、ローは少女の容体を確認する為に部屋を訪れた
ベッドに近づき月明かりの中、様子を見ると目から涙が溢れている
「…起きたのか?」
そう問いかけるも返事がない
流石にまだ無理か…
そう思い改めて少女の顔を見ると、オペの時は意識していなかったが顔も整っており、そこら辺の村娘とは違うと思った
「………」
徐に髪に手を伸ばし触れる
塩水のせいで軋んではいるがそれでもサラサラとしている
ふと、少女が流している涙があまりにも切なく壊れてしまいそうな感覚がした
また新たな涙が少女の頬を伝っていく
「…チッ。たかがガキの女じゃねぇか」
柄にもないことをし舌打ちをするローだがなんとなくその顔を見つめていた
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「…ぅ、んん……」
次の日の朝、あやめは見慣れない天井を眺めていた
(どこ、かしら…ここ…)
体に揺れを感じ、船に乗っているのだと理解した時
ガチャ
「わぁ、目が覚めたんだね!良かったぁ、具合はどう?」
突然声をかけられビクッとすると、声の主はニコニコもふもふさせながら近くにやってきた
「あ、驚かせてごめんねぇ。ボクはベポって言うんだ!よろしくねぇー」
白いその生き物は、自分の国にいる動物とよく似ているがオレンジ色のつなぎを着ており、しかも喋る
反応に困っていると、その生き物は白い手を出してきた
「…っあ、こちらこそよろしく…」
慌てて差し出された手を握ると
「小さくて可愛い手だね!…あ!ボク女の子と手繋いじゃった」
えへへと笑うシロクマにつられてあやめも目を細めた
「おい、ベポ何してやがる」
「あ、キャプテン」
キャプテン と呼ばれた彼は目の下に隈があり、鋭い目つきで強面であったのだが、それよりも上半身裸でパーカーしか羽織ってない姿にあやめは顔を赤らめた