第1章 囚われの姫
暗い廊下を歩き、見えてきたのは離れの一部屋
入るや否や、彼女の足にガチャンと鎖がはめられる
足枷…本来なら奴隷などに付ける類をあの男は自分の娘に付けさせるのだ
(……付けなくてもわたしには逃げようがないのに…)
自分の足につけられた鎖を虚ろな目で見ていた
その後ろで先程の家来がガチャと鍵を閉めた
これが、彼女の日常である
彼女の持つ【癒しの力】は、いつしか金の欲に目が眩んだ父親の道具として扱われ、先程の様に金がある貴族しか相手にしない
いつも屋敷の門に、平民が扉を叩くが金の無い彼らを父親は相手にしない
それどころが家来に命じて追い払っている、暴力で…
そして、金のある貴族が来た時だけ、この部屋から、この足枷から離されることを許され、姫らしく振る舞い治す
金を受け取った後は、またここに戻るのだ
これが彼女の生活