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虎は姫に過保護なり

第4章 欲しいモノ


迂闊だった…

我ながら普段の自分ならこんなヘマはしないのに、と苦虫を噛み潰す



あの時、アイツに何かあったら…と思ったら体が動いていた
その結果、少し牙に掠ってしまった


「……はぁ、はぁ…っ」

意識が途切れそうなのを持ち堪えるもそれ以上何も出来ない
なんとかシャチ達が応急処置をしてくれているが、解熱剤が無いと元も子もない

アイツらもそれを分かってかあやめに気付かれないように言っているのが遠くの方から聞こえる




(そんな……辛そうな顔すんじゃねぇよ…)


彼女の顔にあの時と同じ陰がある

触れて欲しくないような壮絶な事でもあったのだろうか…



ふと徐に彼女がこちらに手をかざしてきたかと思うとその瞬間、体にあった痺れや息苦しさが治まっていく





意識が鮮明に戻った、

だが

目を開けた時にいたのはあやめではなく、ベポ達だった




「あー!!キャプテン!良かったぁ!」
ガバッと抱きついてくるベポ

「……どのぐらい経った?」
隣にいたシャチに聞く

「だいたい3時間ってとこ…かな?もう、大丈夫なのか?」
「3時間、だと?」


自分が思っていた時間よりはるかに治りが早い
いや、むしろ有り得ない筈だ

そもそもこの毒には解毒剤が必須
自分の体力には自信はあるが、それとこれとは話が別だ


「…アイツは?」
「あやめならキッチンに行ったっスよ。それより、キャプテン、ごめん…俺が目を離したから…」

ペンギンが謝罪をするが、そもそもこれは誰のせいでもない
自身が取り乱した結果なのである

だからローは

「…気にするな。それより、アイツと何かする時は目を離してやるな」

「…アイアイ、キャプテン」





ガチャ


「…ロー。具合、大丈夫…?」

トレーに温かい飲み物を持ってきたあやめが部屋へ入って来た

「ごめんなさい…私のせいで…」

震える声で言葉を繋げようとするが、ローが制止した

「別に、大した事ねぇ。


それより…」


瞬間、あやめの肩がビクンと跳ねた





「さっき、何をした」



「………っ」



「え、あやめ、キャプテンに何かしたのか?」
「そういや、あやめが出て行ってすぐにキャプテン目覚ましたもんね」
「…あやめ?」








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