第8章 一人の見回り
あまり長引くと、またさっきの霧で姿を隠すかもしれない。
緋色は考えた。どうしたら鬼の本体がわかるのか。
「おや、もう終わりですか?」
緋色のすぐ近くに鬼が立っていた。緋色は飛ぶと、鬼と距離を取る。
「近くで見るとずいぶん美しいお嬢さんだ。まだ若いし、食べ甲斐がありそうだ。」
鬼が舌舐めずりをした。緋色は違和感を感じた。その違和感が何か考える。
「貴女達鬼殺隊は呼吸というものを使うんでしたね。それでしたら、これはどうでしょうか。」
鬼が両手を左右に広げる。すると、辺りに不気味な色の霧が立ち込めた。
(これは吸ったらダメだ。)
緋色は木の枝に飛び乗る。
「おや、勘がいいですね。そう、これは毒の霧です。呼吸を使うには息を吸わないといけませんからね。」
鬼が面白そうに笑っている。
緋色は木の枝に乗って、やっと違和感の正体に気づいた。さらに木の上まで登っていく。
「雷の呼吸、参ノ型、聚蚊成雷」
緋色は木から飛ぶと、地面に向けて技を放った。
「ぎゃ〜〜〜」
嗄れた声の叫び声が聞こえた。そう、鬼の本体は土の中に隠れていたのだ。土の中から霧を出し、自分の幻影を見せていたのだ。
地面に着地した緋色は、そのまま地面を蹴る。
「雷の呼吸、肆ノ型、遠雷」
鬼の本体に見事に技が決まった。
「、、おのれ、、小娘、、お前も道連れだぁ」
鬼が消える直前、血気術が放たれた。高濃度の毒の霧だった。
(しまった。)
霧を少し吸ってしまった。眩暈がする。
「風雷(ふうらい)、毒の霧だ。隠のみんなに近づくなと、、、」
緋色は自身の鎹鴉に向かって叫んだ。しかし、途中で意識を失ってしまった。